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2021年10月に「AIの心理学」という翻訳本が出た。原著はUnderstand, Manage, and Prevent Algorithmic Bias、副題はA Guide for Business Users and Data Scientist。本書の特徴は人間のバイアスにも光をあてた構成でしょう。例えば、2章タイトルは「人間による意思決定で生じ得るバイアス」、第7章は「データサイエンティスト自身のバイアス」です。行動経済学や認知心理学の本のように感じませんか。統計的モデルの基本作法では、まずバイアスを偶然誤差と系統誤差に分解し、後者を更に交絡と狭義のバイアスに分解、そして最後に後者を選択バイアスと情報バイアスに分解します。通常、このバイアス分解を通しモデリング理解を深めるのですが(もちろん本書もこのバイアス分解に沿った展開を確認できます)、先述の本書特徴視座はどこから来たのでしょう。おそらくそれは意思決定を支援するためにアルゴリズムを使ってきた深く長いデータサイエンス活用経験だと思います。最近ではディシジョンサイエンティストなどと呼ばれます。この古くて新しい視座を提供してくれる本書からエッセンスの抽出を試みたいです。

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