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前回投稿で直接効果(direct effect)、間接効果(indirect effect)、そして総合効果(total effect)を紹介しました。今回はこの総合効果の要素分解について紹介します。

前回は言葉まで紹介しましたが、直接効果は総合直接効果(total direct effect: TDE)自然な直接効果(natural direct effect: NDE)という2通りの定義が可能です。同様に、間接効果も純粋間接効果(pure indirect effect: PIE)と自然な間接効果(natural indirect effect: NIE)という2つの定義が可能です。これらを整理したのが以下の図です。左上が処置変数T=tの状態、右上が処置変数T=t0の状態で、媒介因子の値は関数M(t)で決まる感じです。

総合効果:Total effect

総合効果(total effect)は左上の因果連鎖時と右上の因果連鎖時の成果変数差分として定義されます。総合効果を構成する直接効果と間接効果ともに、処置変数と媒介因子がある値の時を基準とした差分で定義されるためです。具体的には、処置変数の値がt0、媒介因子の値がT=t0の時に期待される値M(t0)の時を基準とし、処置変数T=tとした時に成果変数がどれだけ変化するかの期待値として定義されます。効果とは相対的なものですから、その点は受け入れやすいかと思います。

純粋間接効果:Pure indirect effect

総合効果の基準点となった右上状態はそのままに、処置変数は同一のT=t0でありながら媒介因子の値を、処置変数の値が総合効果の着地点(左上)の値M(t)に制御された状態(MからYへの矢印を青色に制御)を考えます(右下)。これらの成果変数の差分は媒介因子の制御にのみ起因しているので純粋間接効果(pure indirect effect)と呼ばれます。

総合直接効果:Total direct effect

総合直接効果(total direct effect)は上記の純粋間接効果の定義に使われた右下状態を新しい基準点とします。右下状態の媒介因子は既に左上状態の処置変数時の値になっているので、右下と左上の成果変数差分は、処置変数の値がT=tかT=t0かの違いによる差のみとなっていてこれを総合直接効果(total direct effect)と呼びます。正直自分には自然な直接効果も総合直接効果もその言葉がすんなり入ってくる訳ではありませんが、それは自分の未熟さと割り切り用語に慣れるようにしています。

さて自然な間接効果(Natural indirect effect)自然な直接効果(Natural direct effect)についても、同様に確認してもらえれば十分でしょうからここでは割愛します。本稿紹介の要素分解は総合効果を2つの要素に分解しましたが、以下Paperなどでは要素数4の分解法まで紹介されています。個人的には要素数2の分解でお腹いっぱいですが、それでは不十分という方は以下などで学習されて下さい。

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