
以前の投稿で、因果メカニズムの解明とは処置変数と成果変数の間にいくつかの変数を介在させ因果連鎖を明らかにすることと紹介しました。媒介因子(mediator)とは下図のように処置変数と成果変数を間に介在する因子のことで、以下の図ではそれはビタミンCに相当します。
上図の場合はこの因果経路の特定をもって興味は満たされると思いますが、例えば、母親の喫煙(処置変数相当)が乳児の死亡(成果変数相当)に与える影響について、以下のような因果連鎖仮説を有している場合はどうでしょうか。
この因果連鎖図のベースにある仮説は、母親の喫煙による直接の影響によって乳児の死亡確率が高くなる懸念に加え、喫煙により乳児の体重が減少しこの体重減少の影響からも死亡確率が高くなるというものです。そしてこの図で母親の喫煙から乳児の死亡に伸びる経路の影響を直接効果(direct effect)、体重を経由した経路を間接効果(indirect effect)と呼び、直接効果と間接効果を合わせた効果を総合効果(total effect)と呼びます。きちんとした情報で学習したいという方は以下のPaperなどをご参照下さい。
本稿はここまでとし、次回投稿ではこの総合効果の分解法について紹介します。直接効果と間接効果に分解できるんじゃないの?と思われるでしょうが、実は直接効果にも総合直接効果と自然な直接効果という2つの考え方が登場します。本稿は以上です。