
(最終更新日:2019年11月6日)
はじめに
とにかくPoCというような思考停止状態で、AI系プロジェクトの始まるケースが散見されます。私たちデータのプロが手を動かす前に考えていることを、サンプルスケジュール付きで紹介したいと思います。
AIモデルの『評価』に向けた準備
AIや機械学習というと、どうしてもモデリング(やアルゴリズムの知識)に意識が向きがちです。しかし、構築されたモデルをどのように評価するかがプロジェクト終盤では最も重要になります。ここで言う評価は、交差検証などの機械学習の枠組みのなかの評価ではなく、ビジネスインパクトの評価のことです。とりあえず今あるデータでプロジェクトを開始する。悪くないです。とりあえず特徴量作ってみて、とりあえずモデル構築してみる。否定しません。とりあえずやったことをレポーティングする。はい、ここで大体詰みます。
このように詰まない為には、レポーティング段階でビジネス上の評価を徹底的に考えることになる前提で全てを調整しておくことです。関係部署の巻き込みタイミング、ロジック作りのための議論時間、ビジネスインパクト算定のための根拠データの取得や計算、その結果に伴うモデリングのやり直し。覚悟して予定しておけば、ここでPoC終了にはなりません。むしろ、ここからがスタートだと気付くはずです。つまり、多くのPoC死は、プロの私たちから言わせれば、始まる前に終わっているようなものなのです。
ITやBIを飛ばしてAIで果実を取ろうとしない
データ環境もぐちゃぐちゃ、KGIもKPIも人や部署によって定義がバラバラという状況で、AIや機械学習をやるというのは、本来とてもおかしなことです。私たちはそれがどれ程に非効率なことかをクライアントに経験してもらうために、AI導入支援を引き受けることもしますが、一度他社や自力でやってもらって失敗してから取引したいと言うのが本音です。それくらいデータガバナンスは重要ですし、ここに時間がかかることは避けようの無いことです。データガバナンスなどの省略不能なタスクを省略しないよう注意しましょう。
データマネジメント、KGI/KPIの定義、それら指標のトラッキング、日常業務や各種施策の科学的な効果測定など、ITやBI、またはアナリティクスの土台のうえに、AI系のPoCテーマが立案され、またAIモデルも意図をもって導入検討されるよう心がければPoC死はしません。一言で言えば『焦らなければ大丈夫』です。経営層からは早く結果を出せと言われるかと思いますが、焦らず急ぎましょう。
PoC系のサンプル・スケジュール
